プレゼンをする機会があるが、上手く組み立てができない、伝えたいことがなかなか伝わらない、という悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。人前に立つことが苦手、プレゼン資料を作るのが苦手など、人によって課題は様々だと思います。
これらの課題解決のために、本から学ぶという方法もありますが、プレゼンテーションに関する書籍は数多くあるため、どれを手に取るべきか悩んでしまうこともあるでしょう。
今回は、これまでプレゼンの設計からスライドデザインまでを行ってきたプレゼンテイメントが、本の選び方と、課題別のオススメ本をご紹介します。
プレゼンを上達させるための本の選び方
プレゼンを上達させる本を選ぶ時には、自分の悩みに合わせて「どんな知識が必要なのか」を知っておく必要があります。
本の選び方のポイントは以下の3つ。
①内容で選ぶ
∟〈資料・スライドの作成方法を学べる本〉
∟〈話し方を学べる本〉
∟〈シーンやシチュエーションに合った本〉
②手段で選ぶ
③レベルで選ぶ
1つずつ詳しく解説していきます。
①内容で選ぶ
プレゼンを上達させたい!と思っても、その課題は様々だと思います。自分の知りたいことが明確な場合、プレゼンの全てがわかる分厚い本よりも、内容が厳選されているものを選ぶ方が、弱点を効率的、重点的に補うことができます。
〈資料・スライド作成方法を学べる本〉
プレゼンに慣れないうちは特に、スライドが文字ばかりになりがちです。文章が多いスライドや資料は、どこが一番のポイントか分かりづらく、結果的に伝えたい内容を理解してもらえません。
そのため、プレゼンの上達には、視覚的にも伝わりやすい資料作成に力を入れることが大切です。一番伝えたい部分を資料にすることで、相手側も見るべきポイントが分かりやすくなり、プレゼンの成功につながります。
〈話し方を学べる本〉
スライドはもちろんですが、プレゼンでは話し方も重要です。
資料作りが上手くいったとしても、要点が伝わらない、結論が見えてこない話し方では、聞き手は内容を理解しづらく、伝わるプレゼンとは言えません。上手にプレゼンを進めるには、何をどんな順番でどのような表現で伝えていくかが大切になります。また、明るく、大きな声で、ゆっくりと、などスピーチの基本を押さえることも重要です。
資料作成には自信があるけれど、聞き手に伝わった感がなかなか得られないという方は、話し方を学んでみてはいかがでしょうか。
〈シーンやシチュエーションに合った本〉
プレゼンは、ビジネスシーンはもちろん、学校や医療機関、就職説明会など、さまざまな場所で行われます。
聞き手が社内の人なのか、顧客なのか、また、外国籍の方なのかなど、シーンに合わせて気をつけるべきポイントは異なります。
そのため、自分がプレゼンをするシーンに合った書籍を購入する必要があるでしょう。
自分がなんのためにプレゼンするのか、言語は何を使うのかなど、具体的なシチュエーションやシーンに合わせて本を選ぶことで、的確なアドバイスを得ることができます。
②手段で選ぶ
内容はもちろんですが、どのように学ぶかも本選びにおいて重要なポイントです。
まとまった時間をとりづらい人、本を読むのが苦手な人などは、DVD・CDなどが付いている本がオススメです。
特にプレゼン初心者の方は、実際のプレゼンがどんな雰囲気で行われているか、どのような身振りや言葉の使い方で話しているかなども気になると思います。DVD付きのものを選ぶと、より具体的にイメージをしながらプレゼンの準備を進めることができるでしょう。
そのほかにも、外国語で行うプレゼンについて知りたい場合は、CDを選ぶことでイントネーションや自己紹介の受け答えなどを耳からも学ぶことができます。
③レベルで選ぶ
プレゼンの上達本は、様々なレベルのものが出ています。そのため、上級者向けの本を買ってしまうと何が書いてあるかさっぱりわからない……なんてこともあるでしょう。
プレゼンにあまり慣れていない場合や、日頃のプレゼンに自信が持てない場合は、「初心者におすすめ」などと書いてある本を選ぶことが重要です。初心者向けであれば、基礎から丁寧に学ぶことができるでしょう。
プレゼンの【資料作成】が学べるおすすめの本7選!
まずプレゼンの準備段階で活用できるのが、プレゼンの資料作成のための本です。
基本的なパワーポイントの使い方から、デザインや配色の方法、効果的に作成するためのノウハウを、分かりやすく解説してくれるため、1冊持っておくと便利です。
ここでは、プレゼンの資料作成を学べる本を7冊紹介していきます。
プレゼン資料のデザイン図鑑
スライド設定やフォント、画像の使い方まで、どのように組み合わせれば効果的なプレゼン資料になるかを知ることができる図鑑です。実例が400枚掲載されているので、自分のプレゼン内容に合ったものを選びマネをすることができます。
プレゼンまでに本を読み切れない、文章で理解するのが苦手という人にも心強い本です。
社内プレゼンの資料作成術
著者名 |
前田鎌利 |
出版社 |
ダイヤモンド社 |
発売年 |
2015年 |
価格(税抜) |
1,600円 |
商品ページ |
社内プレゼンの資料作成術 |
ソフトバンク、ヤフーなどの大手企業で採用されたプレゼン資料作りのスキルが学べる1冊。少ないスライド数で説得力を生む方法や、グラフの上手な使い方などを学ぶことができます。上で紹介した「
プレゼン資料のデザイン図鑑」と同じ著者のもので、発売年は2015年と古いですが、いまだにAmazonの売れ筋ランキングで上位にランクインしているベストセラーです。
世界で一番やさしい 資料作りの教科書
プレゼンがうまくいかずに悩む入社4年目の女性が主役の、物語形式で読めるプレゼン資料の参考本です。
資料作りのステップやコミュニケーションの3つの方法を紹介していて、自分の思いを無駄なくストレートに伝える方法が学べます。
PowerPoint資料作成 プロフェッショナルの大原則
資料制作の流れを12ステップに沿って学習することができます。
通常はバラバラであることの多い「論理」「表現」「パワポ操作」をこの1冊で学び、実践することが可能です。
コンサルタントのテンプレートがすべてダウンロードできるようになっており、一から自分で作る手間も省けるため人気が高いです。
一生使える 見やすい資料のデザイン入門
WEBで大人気の資料デザイン入門が書籍化しました。
「とにかくわかりやすい」と初心者からも高評価です。2016年に発売ですが、未だにAmazonの売れ筋ランキングのプレゼンテーションソフト (本)部門で上位にランクインしている、長く愛されている1冊。
見やすさを意識した資料作りや色の使い方に関するポイントを簡潔に解説しているので、本を読み終える頃には資料作成の力がアップすること間違いなしです。
なるほどデザイン(目で見て楽しむデザインの本。)
資料をデザインしていく上で必要な基礎やプロセス、概念を学ぶことができます。
図面や写真で解説しているので、初心者の方でも楽しみながら学ぶことができるでしょう。
2015年発売ですが、未だにランキング上位に選ばれている1冊。プレゼン資料以外にも幅広く活用できる本です。
デザイン入門教室
著者名 |
坂元伸二 |
出版社 |
SBクリエイティブ |
発売年 |
2015年 |
価格(税抜) |
1,850円 |
商品ページ |
デザイン入門教室 |
デザインが苦手な人は「センスがないから」と思っていませんか?
相手に伝わり心に残るデザインにするにはどうしたら良いか学ぶことができます。
自分自身で資料を作る人にピッタリの本です。
デザインの基礎を学べる本なので、長年にわたり愛されています。
プレゼンの【話し方】が学べるおすすめの本5選!
プレゼンでは、資料作成はもちろん、良い「話し方」も大切です。
話し方を良くすることで、よりプレゼンの内容が伝わりやすくなるため、プレゼンの上達につながるでしょう。ここでは、話し方が学べる5冊の本を紹介します。
1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術
プレゼンに限らず、人前に立って話をするということに対して、非常に苦手意識が強い人が多いです。その理由として、話がまとまっていないということがあるでしょう。
この本では、1分で物事を伝えるノウハウを学ぶことができます。
話し方が上手くなる!声まで良くなる!1日1分朗読
フリーアナウンサーが出した話し方に関する知識が盛りだくさんな本です。
1日15分の朗読で、プレゼンに必要な話す能力を得ることができます。
親子で読み聞かせができるページもあるため、子育てをしながら働いている人でも子供と遊ぶ感覚でスキルを身に付けることができるでしょう。
頭の良さとは「説明力」だ
ビジネスシーンでのプレゼンから、日常生活でのちょっとした説明まで、使える話し方をすべてこの1冊で習得することができます。
人に何かを説明する際、ダラダラと長く話しても伝わりにくいことは分かっていますが、上手に組み立てて知的に話すのはなかなか難しいでしょう。この本では、どうしたら頭の良い話し方ができるのかが分かりやすく解説されています。
伝える力
著者名 |
池上彰 |
出版社 |
PHP研究所 |
発売年 |
2007年 |
価格(税抜) |
800円 |
商品ページ |
伝える力 |
相手に伝える力を習得できるこの本では、「話す」「書く」「聞く」の3つの能力を磨く方法が紹介されています。
相手を惹きつける話し方をはじめ、文章能力や表現方法も学べるため、プレゼンに限らずビジネスシーンで役立つ能力を身に付けることができるでしょう。
ほかの本と比べて価格が安いので、手に入れやすいです。発売年が2007年と、10年以上も前の本ですが、未だに売れ続けているロングセラーです。
新装版「分かりやすい表現」の技術 意図を正しく伝えるための16のルール
マニュアルや交通標識の分かりにくい表現を例に出して、「わかりにくい犯人」をつきとめることによって、わかりやすい表現の技術を学ぶことができる1冊。
どうしても話している内容が相手に伝わっていない……そんな悩みがある人にオススメです。
プレゼンの【言葉の使い方】を上達させるおすすめの本5選!
話し方に加え、言葉の使い方も学ぶことで、より良いプレゼンが可能になるでしょう。普段何気なく使っていた言葉をより良い言い回しに変えるだけで、伝わりやすく、説得力を持たせることができます。
英語でのプレゼンであっても、よりネイティブに近い言い回しを学ぶと自然で伝わりやすいプレゼンになるでしょう。
ここでは、言葉の使い方が上達する本を5冊紹介します。
大人の語彙力ノート 誰からも「できる!」と思われる
ベストセラーを多数生み出している明治大学の齋藤先生が「語彙力」について書いた本です。
ビジネスシーンで使える、より上品な言い方や相手の気持ちを害さない言い方を、シーン別に分けて紹介しています。
何気なく使っていたけど、実は間違えていた言葉使いなども見つかるかもしれません。
スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本
日常会話でも「えーっと」や「あのー」など、本来は必要のない言葉を使ってしまうシーンが多くあるでしょう。このような言葉は「ドッグワード」と呼ばれ、多すぎると聞きづらいプレゼンになってしまいます。
この本では、「ドッグワード」を消す方法を紹介しています。
NGフレーズでわかる!正しく伝わるビジネス英語450
国際化が進んでいる現代では、英語でスピーチをする場面が増えてきています。
ビジネスシーンで使っている英語は本当に合っていますか?
この本では、プレゼンなどのビジネスシーンでよく使用される英語の、正しい表現方法を丁寧に解説していきます。
一流ビジネスパーソンが無意識にやっている 英語でプレゼン・スピーチ 15の法則 25のスライドタイプで鍛える!
パワーポイントでのスライド作成術をはじめ、英文のスクリプトの作り方などを25種類一挙に知ることができる本です。
実際のビジネスシーンで使っているスライドを用いて解説しているため、リアリティーを感じながらプレゼン上達の知識を得ることができます。
また、CDが付いているので耳から覚えることもできるでしょう。
カリスマ同時通訳者が教える ビジネスパーソンの英単語帳
世界の著名人に信頼されるカリスマ通訳者が、日常会話をビジネス会話に変えるためのキーワードを解説した本です。
ビジネスの場で英単語はどのように変わるのかをわかりやすく解説してあるため、英語のプレゼンも上達することができるでしょう。
緊張を味方にする!メンタル面でおすすめの本2選
人前で発表をすることが得意という人は少ないのではないでしょうか?
プレゼンの時は、緊張を全てなくすのではなく、味方に付けるという考え方も大切です。
ここでは、メンタル面で成長できる本を2冊紹介します。
NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版
「暴力や対立」を「お互いが思いやる機会」に変える話し方を習得できる本です。
近年では、マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏が社員に勧めたことで、注目が集まりました。ビジネスシーンではもちろん、日常生活でも役立つ本です。
宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】
日本でも人気の漫画「宇宙兄弟」の登場人物に例えるなら、自分はどんなキャラクターなのか知ることができる本です。
自分のタイプを知ることで、プレゼン中の立ち回りやメンタルをどう強化したら良いのか、ヒントを得ることができるでしょう。
「伝わるプレゼン」をするなら、この1冊がおすすめ!
長年プレゼンスライド制作に携わっているプレゼンテイメントが大事にしている、「伝わるプレゼン」についてより深く知りたい方には、こちらの1冊がオススメです。
ザ・プレゼンテーション
著者名 |
ナンシー・デュアルテ |
出版社 |
ダイヤモンド社 |
発売年 |
2012年 |
価格(税抜) |
2,625円 |
商品ページ |
ザ・プレゼンテーション |
分かりやすいハウツー本というよりも、プレゼンの意義説明や歴史上の素晴らしいプレゼンの分析など、プレゼンの本質に迫った内容が多いため、読み進めるのに多少の時間は必要です。しかし、「聞き手の心に響くプレゼン」とは何か、どうすればそのようなプレゼンが可能になるかを理解することができます。気になる方はぜひ読んでみてください。
短時間でプレゼンを成功させるにはまず本で知識を付けよう
効果的なプレゼンをするなら、準備が大切です。
自分の課題に合った本を読み、得た知識を実際にプレゼンに活かすことで、伝わるプレゼンが可能になるでしょう。「プレゼンを頼まれたが、何から手を付けたら良いかわからない」という方も、「日頃のプレゼンをより良くしたい」という方も、まずは本を1冊選んでみてはいかがでしょうか。